
「買い物袋を持ち上げた瞬間に肩の前がズキッとする」「棚の上に手を伸ばすと、肩の付け根の前側が痛む」——こうした肩の前側の痛みで考えられるもののひとつが、上腕二頭筋長頭腱炎です。
結論:上腕二頭筋長頭腱炎は、力こぶの筋肉(上腕二頭筋)の腱のうち、肩の前を通る「長頭腱」に負担が重なって痛みが出る状態です。物を持ち上げる・腕を上げる動作をくり返す方に起こりやすく、まずは痛む動作を減らしつつ、診断は整形外科で受けることが大切です。
- 痛む場所は肩の付け根の前側で、腕の前面に広がることもある
- 重い物を持つ・腕を頭より上に上げる・投げる動作で痛みやすい
- 肩のインナーマッスル(腱板)の問題と一緒に起こることが多い
- 「ブチッ」という音のあとに力こぶが下がった場合は、腱が切れている可能性があるため受診を優先

上腕二頭筋長頭腱炎とはどんな状態?
肩の前側にある骨の溝(結節間溝)を通る上腕二頭筋の長頭腱に、炎症や傷みが起きた状態です。上腕二頭筋は肩側で「長頭」と「短頭」の2本の腱に分かれており、このうち長頭腱は細い溝の中を通って肩関節の中まで続いているため、腕の動きのたびにこすれやすい構造になっています(米国整形外科学会 OrthoInfo「Biceps Tendinitis」)。
米国の家庭医向け総説では、この腱の痛みは単独で起こるよりも、腱板損傷やインピンジメント(肩を上げたときに腱が挟まる状態)など、肩のほかの問題と一緒に起こることが多いとされています(Churgay CA. Am Fam Physician. 2009)。肩を上げたときの引っかかり感が主な症状の方は、肩のインピンジメント(腕を上げると肩が痛い)の記事もあわせて参考にしてください。
どんな症状や動作で痛みが出る?
肩の付け根の前側を押すと痛む、物を持ち上げる・腕を上げるときに痛む、というのが代表的な特徴です。
| 場面 | 痛みが出やすい理由 |
|---|---|
| 買い物袋や子どもを持ち上げる | 肘を曲げて重さを支えるとき、上腕二頭筋が強く働くため |
| 高い棚に手を伸ばす・洗濯物を干す | 腕を上げる動きで、長頭腱が骨の溝の中でこすれやすいため |
| ボールを投げる・ラケットを振る | 腕を大きく振る動作のくり返しで、腱に負担が重なるため |
| ベンチプレスや腕立て伏せ | 肩が前に出た姿勢で負荷がかかると、肩の前側に負担が集まりやすいため |
| 夜、痛い側を下にして寝る | 炎症が強い時期は、圧迫や姿勢で痛みを感じることがあるため |
整形外科では、押して痛む場所の確認に加え、腕を前に上げる・手のひらを外に返す動作に抵抗をかけて痛みを見る検査や、超音波(エコー)・MRIなどで腱の状態を確認します。自己判断で「腱炎だろう」と決めつけず、診断は医療機関で受けてください。
受診を優先したほうがいいのはどんなとき?
次のような場合は、運動よりも先に整形外科を受診してください。
- 「ブチッ」という音や感覚のあと、力こぶが下のほうに膨らんで見える
- 転倒や腕をひねったあとから痛みが出た
- 安静にしていても痛む、夜眠れないほど痛む
- 腕が上がらない、力が入らない
- 腕や手にしびれがある(首の問題など、別の原因も考えられるため)
腕を上げる範囲が全体的に狭くなってきた場合は、五十肩(肩関節周囲炎)の記事で紹介している状態との区別も必要です。

肩の前の負担を減らすにはどうすればいい?
基本は「痛む動作を一時的に減らすこと」と「肩が前に出た姿勢を見直すこと」です。医療機関で運動を止められていない場合の、日常での工夫を紹介します。
日常動作の工夫
- 重い物は身体に近づけて持つ:腕を伸ばした状態で持つと、肩の前にかかる負担が大きくなりやすい
- 高い場所の物は台を使って取る:腕を頭より上に上げる回数を減らす
- 痛む時期は、痛みの出る筋トレ種目を休む:ベンチプレスやカールなどは、痛みが落ち着くまで中止する
姿勢の見直し
巻き肩や猫背で肩が前に出た姿勢が続くと、腕を上げたときに肩の前側に負担が集まりやすくなると考えられています。ただし、姿勢と腱の痛みの関係には個人差が大きく、姿勢だけが原因とは言い切れません。デスクワーク中の肩の位置や、胸まわり・肩甲骨の動きを見直すことが、肩全体の負担を分散させる一歩になります。巻き肩のセルフチェックは巻き肩が気になる方への記事で紹介しています。
強い痛みがある時期に、自己流でストレッチや筋トレを増やすのはおすすめしません。痛みが落ち着いてから、痛みの出ない範囲で少しずつ動きを戻していくのが基本です。
TRESOではどう進める?
パーソナルジムTRESOでは、トレーナー1名に最大3名の少人数制セミパーソナルで、身体の状態を確認しながら無理なく運動を進めます。肩の前側に不安がある方には、まず腕を上げる・物を持つといった動作のどこで痛みが出るかを確認し、肩甲骨や胸まわりの動き、姿勢を整えるところから始めます。腱の状態の診断や治療は行わないため、医療機関を受診中の方は主治医の指示を優先してください。※効果には個人差があります。
初回体験は総所要50分(カウンセリング・身体チェック・体験トレーニング・フィードバック込み)で、通常4,000円(税込)、入会金は20,000円(税込)です。
※体験当日にご入会の場合、体験料・入会金が無料(各コース毎月3名まで。当日ご入会でない場合は体験料4,000円、後日のご入会は特典の対象外です)。
肩の前側の痛みが気になる方へ|岐阜市パーソナルジムTRESOで身体の悩みを相談する(LINE)
よくある質問
Q1. 肩の前が痛いのは上腕二頭筋長頭腱炎ですか?
A. 可能性のひとつですが、肩の前側の痛みは腱板の問題やインピンジメント、五十肩などでも起こるため、自己判断はできません。痛みが続く場合は整形外科で診断を受けてください。
Q2. 上腕二頭筋長頭腱炎のときに筋トレを続けてもいいですか?
A. 痛みが出る種目は中止し、医師の許可が出てから再開するのが基本です。痛みの出ない下半身の運動などは続けられる場合もあるため、主治医に確認してください。
Q3. 上腕二頭筋長頭腱炎はどのくらいで良くなりますか?
A. 期間は負担の程度や、腱板など他の問題が一緒にあるかによって大きく異なり、一概には言えません。痛む動作を減らしても改善しない場合は、医療機関で治療方針を相談してください。※効果には個人差があります。
出典
- American Academy of Orthopaedic Surgeons. OrthoInfo「Biceps Tendinitis」 https://orthoinfo.aaos.org/en/diseases–conditions/biceps-tendinitis/
- Churgay CA. Diagnosis and treatment of biceps tendinitis and tendinosis. Am Fam Physician. 2009;80(5):470-476.
監修者プロフィール
岡田 榮二(EIGI OKADA)/パーソナルジムTRESO岐阜店代表/理学療法士(国家資格)
- 保有資格:理学療法士(国家資格)
- 経歴:中部学院大学 卒業(2018年)。理学療法士として整形外科・スポーツ分野を中心に、小児以外のほぼ全科でリハビリテーションに8年間従事。
- 専門領域:身体の使い方・関節や筋肉の状態の評価と、無理のない運動の進め方
- 本人メッセージ:「対応する方は全員、自分の家族だと思って向き合う。相手の些細な反応も見逃さないことを大切にしています」
※効果には個人差があります。TRESOは医療機関ではなく、診断・治療は行いません。気になる症状がある場合は、医療機関の受診を優先してください。